犬はどう学ぶのか、人はどう学ぶのか③…無言の「そこどけ」

2014.12.18

先日、総合病院に予約がありました。1F窓際には、受付の長椅子とは別に、来院者が休憩できるための椅子とテーブルの置いてあります。

少し早めに着いたので、お昼を食べようと、空いている椅子を探しました。そこは、テーブルをはさんで2脚椅子が向かい合わせに置いてあり、その1つにはおばさんが座っていて、テーブルには荷物が置いてありました。でも椅子は空いていたので、「空いてるかな?」と思いながら座りましたが、おばさんはこちらを見ただけで特に何も言いませんでした。そこでお昼ご飯を食べ始めたところ、どこからか若い男性(多分息子)がどうやら戻ってきました。「あ〜、やっぱり連れがいたのね」と思ったところ、

息子「上に行こうか」。母「私はまだここにいる」息子「いや、いいよ、もう行こうよ」母「私はここにいるのよ!」

などと会話を始めました。どうもおばさんが、意味深です。そして、おばさんは私の方を「見ました」。一言も発しませんでしたが、明らかに「そこ、どきなさいよ」と言っていました。息子は特に感じが悪いことはありませんでしたが、私がどいたあとの椅子に座り、二人はその後ずっとそこに座っていました。

さて、私はなぜおばさんが何を言いたいか、わかったのでしょうか?

それは、状況判断といえばそうですが、正確に言うと「これまでの経験」の積み重ねです。こういう流れの時は次におばさんは「そこ、息子が座っていたんですけどいいかしら?」(丁寧な言い方の場合)などと続く確率が高いのです。そして、おばさんの目のきつさは「どけ」と言っていて、「すみません、どいていただけますか?」ではなかった。たとえおばさんも息子も一言もしゃべらなかったとしても、普通の人は、二人の目のしぐさから十分理解できるでしょう。

私たちでさえ必ずしも言葉は必要ありません。

言葉を使わない犬たちは、目の動き、目の仕草で、多くを会話しています。それは言葉に頼る私たちよりももっと精細なものです。

そしてこのコミュニケーションスキルも、経験を積み重ねて上達していくのです。例えば、他の犬と挨拶しに近づくときも、失礼な近寄り方と、礼儀正しい近寄り方があります。失礼な態度を許容する犬もいれば、失礼な!と怒る犬もいます。

こういうことは、たくさんの犬と交わらないと学びません。経験不足だと、自分の気持ちを礼儀よく伝えることができなかったり、相手のサインはそっちのけで自己主張ばかりしてしまう社会性のない犬になってしまったりもするのです。

 

カテゴリー: しつけのコツ 犬の性質としつけ 犬の習性と行動

 

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