陽性強化、正の強化、科学的なトレーニング、の本当の意味

2016.05.10

インターネットで犬のしつけ方法を検索すると、さまざまな説明が出てきます。

「陽性強化」「正の強化」という用語を聞いたことがない人でも、「褒めるトレーニング」や「科学的根拠に基づいた」「行動学に基づいた」トレーニング、といった説明を見たことはあるでしょう。

陽性強化とか正の強化と訳されているのは、もともとは学術用語であり、正しい定義に基づいて使われるべきもの。犬の唾液の研究中に条件反射の仕組みを発見したイワン・パブロフの文献では、「正」「負」と翻訳されています。(パブロフは心理学者ではなく生理学者です)

つまり、本来の意味は科学や数学の「➕」と「➖」と同じこと。数学どころか小学生でもわかる算数のレベル。「足す」か「引く」か、ただそれだけのことです。

 

「陽性」と聞くと何か良いことのような気がしますが、足すこと、引くことに、良い悪いはありません。

「科学的」と聞くと、何か特別な学習方法のような気がしますが、科学的説明ができようができまいが、生き物が生きている限り、常に何かを学んでいるものです。

「褒める」しつけに関しては、実際に行っている方法が科学的根拠を全く無視している場合も少なくありません。

 

どんな用語を使っていても、実際に犬が何を学んでいるのかは別。良いことがあった、と学んでいるのか、あるいは嫌なことが起きたと学んでいるのか。

やはり、悪いことがたくさん起きる抑圧された生活よりも、良いことがたくさん起きる豊かな生活を送りたいですよね。