犬を知るには嗅覚を知れ:AKCのトラッキング競技②〜上級レベルTDX(動画)

2014.04.23

 

アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)のトラッキング(足跡追求)競技には3種類クラスがあります。

その中で、フィールド(野原や農場)に付けた足跡を追うのが「トラッキングドッグ(TD)」その上が「トラッキングドッグ・エクセレンス(TDX)」。3つ目は「バリアブル・サーフェス・トラッキング(VST)」という、街中を想定したもので、フィールド以外のコンクリートやアスファルト、土など、さまざまな(variableバリアブル)地面での追跡です。

追跡する距離は合計800M前後。コーナーが5回〜。足跡をつけてから最低3時間たってからスタートします。探さなければならない落とし物の数は3個以上になり、さらに薮や茂み、小川、にくわえ、別の人物の足跡などの「難所」をクリアしていかなければなりません。

 

TDXの難関

TDXの難関のひとつ「薮」

TDXは合格率が50%以下という難関な上に、競技枠も少なくなかなかテストを受けるまで至れません。本当はもう少しトレーニングの時間が欲しかったところですが、帰国が決まっていたためにダメもとでチャレンジしました。

 

 

アメリカでも「超小型犬」の愛玩犬でこのレベルにチャレンジする飼い主は少ないので、注目されました。私の犬はトイプードルですが、以前、マルチーズがいたそうです。テスト当日は早朝に季節外れの粉雪が舞う天気でした。約半分くらいのところで、別の足跡にまどわされてしまい残念ながら失格となりました。まさに練習ができていなかった要素でした。

TDX Arial Map

失格しても最後まで続けて良いことにいなっています。その後は茂みを横切るなど難なくクリア。すべての落とし物を見つけゴールにたどり着き、本人は大満足していました。

 

TDXケーキ

テストを受ける犬でデコレーションされたケーキ

当日テストを受けた他の犬たちは、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリーバー、ボーダーコリー、そしてトイプードルでした(もう1匹のゴールデンは誰かが欠席した場合の予備軍)。主催者が、テストを受ける犬たちでデコレーションされたケーキを焼いてきてくれました。毎回作っているそうです。

この日、ゴールデンがあと少し、というところまでいきましたが、最後のコーナーで足跡を失い失格。結局合格は1匹もいなかったのですが、これは決して珍しい結果ではありません。

 

このレベルになってくると、飼い主(ハンドラー)は、犬の様子から、何をしているのか、がわからなければなりません。例えば、においを失ってしまって探しているのか、あるいは鹿の足跡を見つけて誘惑に負けて鹿を追っているのか・・・

特に、藪の中などは、木の枝やトゲのある植物などを避けないと前に勧めないこともあり、犬は必ず足跡を一歩一歩たどるわけではありません。でも、そんな自分の犬を信じて後をついていけるのか・・・そういうトレーニングをしてきたのか、それが問われることになるのです。

飼い主(ハンドラー)が、「そっちじゃない」などと余計な考えに取り憑かれて犬を誘導してしまうことがあります。そうするとほとんどの場合は「ごめんね・・・信じなくて」と

犬に謝ることになります。