多頭飼い:いさかいが増えた
先住犬のジャックラッセルは、活発ながら節度ある女の子。庭でのボール遊びが大好きです。
2匹目は若いウェルシュテリアのやんちゃな男の子、B君。ボールを追いかけるお姉ちゃんのことを追いかけるのが楽しくて仕方ありません。
でも、B君が2歳になったころからボールをめぐって「いさかい」が目立ってきました。
「B君がお姉ちゃんの近くによるとお姉ちゃんが嫌がって喧嘩になるんです。この子、いい子なのに、らしくない」と飼い主さんは困惑していました。
「B君にもボールを投げてあげてみましたが、取りにいかないし…フリスビーも大好きなんだけど、追いかけるだけで持ってこないんです」
というので、B君とフリスビーで遊んでみました。
大喜びで引っ張ります。そこで何度かフリスビーを投げてみました。
「持って行くと引っ張りっこをして遊んでもらえる」とすぐにピンときたようで、持って戻ってくるようになりました。
お姉ちゃんの言い分:「あなたももういい大人になったでしょ。私のボール遊びの邪魔しないで!」
弟の言い分:「ボクだって遊びたいのに・・・ボールがダメなら、ボクはお姉ちゃんのこと追いかけるさ」
“小競り合い”になるのは、ときどきお姉ちゃんが我慢の限界に達するからでした。でも弟はお姉ちゃんに牽制されてボールで遊べなかったのです。
「お姉ちゃんはボール」「ボクはフリスビー」で遊ぶ、とはっきり区別したところ、同時でもそれぞれの“獲物”を追いかけて遊べるようになりました。
多頭飼い:下の子が過剰に吠えるようになった
先住犬は柴犬の女の子。2匹目は2歳未満のトイプードル。赤ちゃんが這うようになったので、リビングを半分に仕切って2匹の居場所を制限したところ、それ以来、2匹目のトイプードルが過剰に吠え、いくら叱っても言うことを聞きませんでした。
「柴犬の方は吠えないし、まったく問題のないいい子です。なのになぜこの子だけ・・・」と飼い主さんはお手上げでした。
このトイプードル、「しばらく前まではオモチャで遊んでいたのに、最近遊ばなくなった」というのです。
若く活発なプードルで、エネルギーが有り余っているはずなのに?!
一方、柴犬の方はもうオモチャでは遊ばないとのことでした。トイプードルと比べて柴犬は「大人に」なると遊ばなくなる犬が多いです。
トイプードルだけ庭に出し、オモチャを投げてみました。初めはなぜかためらっていたのですが、すぐに喜んで遊ぶようになりました。
つまり・・・
柴犬お姉ちゃんの言い分:「もう“子犬”としての優遇期間はおしまいよ。あたしがお姉ちゃんなんだから、勝手にオモチャで遊ばないで」
トイプー妹の言い分:「だからオモチャで遊んでいると怒るわけ?・・・そういうなら、もう遊ばないから。でも最近あんまりお散歩も行ってもらえないし退屈でたまらないよぉ」
妹は、お姉ちゃん犬に「大人になった」と認められると同時に、「あくまで私がお姉ちゃんよ」と牽制されていたのです。
性格が良いとか悪いとかの問題ではありません。ただ単に、先住犬が主導権を握っていたというだけです。
吠えたときの対応の仕方とお散歩トレーニングを実施。トイプードルだけ庭でおもちゃで遊んであげるようにアドバイスしました。その後、1週間ほどで落ち着いたそうです。
多頭飼い:下はやりたい邦題、上は我慢を強いられている
上の子は4歳のシーズーミックス、下の子は2歳のポメラニアン。二匹とも見知らぬ犬が苦手で吠える、下のポメラニアンが何かと吠える・・・などのご相談でした。
上の子は落ち着いた性格で人なつこく、下の子は落ち着きがなく、見知らぬ人は初警戒するようでした。(飼い主さんは人は好き、と思っていらっしゃいましたが・・・)
お姉ちゃんは、妹と遊んであげることもあるけれど、たまに相手をしてあげるのにも疲れると避けようとするのですが、まだ若い妹の方は「もっと遊ぼうよ〜」と執拗にからみます。お姉ちゃんの方には、ストレスがたまっていました。
お出かけの時だけではなく、普段から部屋にはそれぞれの“個室”(クレート)を設置していただいたところ、お姉ちゃんの方は、よくクレートに入るようになったそうです。
そうなんです。どんなに仲良しでも、犬だって一人の時間が欲しいときもあるんです。
妹のポメラニアンは、職場に連れて行くと、来客に吠えていたのですが、職場にもそれぞれのハウスを設置してあげたところ、ほとんどの時間をハウスで静かにしているようになったそうです。恐がりの犬は、自分が安全だ、と思える場所があるだけで落ち着くことが多々あります。
この2匹の場合、お姉ちゃんは、自分が「お姉ちゃんよ」と主張するより、執拗にからまれてもじっとだまって我慢してしまう性格でした。