犬が噛む時⑤所有物を守りに現れる“ハイド氏”

2014.12.05

これは、やっかいな性質です。以下のような状況で、唸る、噛む、または襲いかかってくる、などの攻撃的な行動がみられます。

 

★ごはんの食器に近づいた時

★お気に入りのベッドやクレートに近づいた時

★牛皮や骨などを取り上げようとする時

★お気に入りのオモチャを取り上げようとする時

★体をさわろうとする時

★人や犬が飼い主さんに近づいた時

★水の食器に近づいた時

・・・これらは代表的な誘因で、犬が「大事」だと思えば何でも「守る」対象となりえます。単に唸るとか噛む、というだけでなく、それ以外にも「白目を剥く」とか「固まる」などの特徴的なしぐさがあります。問題行動専門のトレーナーは、犬の様子を見れば、普通のコミュニケーションのレベルなのか、そうでないのか判断できます。

一昔前は、「アルファー症候群」とも呼ばれた諸症状ですが、決して犬がアルファー(上位のリーダー)になっているからではありません。支配性、上下関係とは関係ないとされています。

英語では「ジキル&ハイド」のようだと表現されるとおり、ある状況においてだけ、人格(犬格?)が豹変します。“引き金”となるものが近くになければ、犬は何てことのない普通の「いい子」というのが特徴です。しかし、態度が瞬時に急変するので「突然襲いかかってくる」という危険な性質でもあります。

飼い主さんに、人や犬が近づいた時に攻撃的になる愛犬を「私を守ってくれているの」と言う飼い主さんがいますが・・・そうではありません。それどころか、飼い主さんは犬の「所有物」として独占権を主張されているのです。

何を守ろうとするのかが明確な場合は、トレーニングがしやすいです。守る対象がひとつやふたつしかない場合も、トレーニングはやりやすいです。

ただ、犬の攻撃性が人や他の犬に危害を及ぼす可能性のあるレベルの場合、トレーニングをするよりも、そういう状態にならないような環境づくりをした方がいいかもしれません。“引き金”が複数ある場合なども、一緒に暮らすのには神経をすり減らすでしょう。

 

前の記事へ

 

この記事のカテゴリー: 犬の習性と行動 噛む

 

関連記事

本気噛み!しつけにも限界はある

 

メールで申し込む携帯に電話する