犬を撫でたい、触りたい…は嫌われる

2015.11.26

犬をかわいい、と思うと私たちはなぜ、触ろうとして手を出すのでしょうか?

まだ歩けない赤ちゃんでも、犬を見ると手を出します。

ショッピング中、何か興味を引く商品を見た時も手に取るものですし、畳まれた洋服は、広げてみます。

触らずに見るだけではなく、手で実際に触れたときのフワフワや温かみ、それが私たち人間にとって大事なフィードバックなのです。

でも、特に犬好きな人のこのような行動が、怖がりの犬を遠ざけ、人見知りの犬をますます人嫌いにさせている原因になっていることがあります。

 

先日、子犬のトレーニングでおうかがいした家には5歳の先住犬(チワワ、メス)がいました。その犬は見知らぬ人が苦手なのですが、子犬のトレーニング中も、私のそばを離れませんでした。飼い主さんは、その様子をみて、

「えっ?なんで?この子は家族以外の人になつかないんです。こんなこと初めて!」

普通は、何度も会っている人にも近づかれると吠えてしまうので、「犬好きの親しい人なんですが、いつまでたってもまったくなつかないので申し訳なくて」というのです。

その犬が、私の前に来ては「オヤツちょうだい」とおねだり。好みのうるさいMちゃんですが、たまたま私の持って行ったオヤツがいたく気に入ったことが大事な要素だったのは間違いありません。

でも、Mちゃんがあっという間になついた理由は、オヤツではありません。

私が撫でようとしなかったからです。

私の方からは決して近づかず、犬から近づいてくるのに任せたからです。

 

 

犬が好きな人は、犬との距離を縮めたいと思うと、一生懸命「おいで、おいで」と声をかけたり、オヤツをあげようとしてしまいがち。でも見知らぬ人が苦手な犬や警戒心の強い犬にとって、近づかれるのがダメなのです。

犬は「この人は大丈夫」と思ったら近づいてきます。犬にとって「この人は危険ではない」とは、犬自身が距離感をコントロールできる、ということです。だから、やっと犬が近づいてきて、手を伸ばせば触れる距離にきた時、嬉しくなってつい手を伸ばしてしまってはいけません。あなたの手のひらにあるオヤツに近づいたときにも、犬がそれを食べて遠ざかるまで、その手を動かしてはいけません。

 

 

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