犬の攻撃性と興奮性〜もし脳が壊れていたら?

2017.02.22

支配的な犬や攻撃性の高い犬というのは、ほとんどいない、と言われるのだが、でも、人の肌が裂けるほど噛むような危険な犬もいる。何の予告もなく(少なくともそのように見えるだけの場合と、本当に突然の場合とがある)突然噛みつき、相手を痛めつけるまでやめられない犬。

そのような犬は、罰を与えていけないことを教えれば治るのか?

そうとは限らない。原因が、脳の異常から来ている場合があるからだ。

もうひとつ、情動行動と括られる行動の数々で、代表的なのはケージの中で、常に落ち着きなくクルクルと回り続けること。動物園のトラや狼、クマなどに見られることが多いが、保護されている犬にも起こる。
これはただ落ち着きがないのではない。狭い場所に長時間閉じ込められているストレスや、行き場のないエネルギーをどうにか解消しようとする動きだ。
保護犬に限られたことではなく、家庭犬でも、好奇心や運動といった基本的な欲求などが満たされていないと、家の中で常に落ち着きがなく動き回ることがある。また、噛む場合もほとんどの場合は何らかのストレスがかかった時。

ずいぶん前にあるテレビ局で、ストレスが体を蝕み死を招く、それにどう対処するか、という番組をやっていた。その中で、強いストレスを受けたり、長い間ストレスが続くと、それが原因で脳の細胞が変化してしまう、という研究結果などを紹介していた。

犬も同じ。

もともと脳内物質の伝達がうまくいっていなかったり、長期間、脳がストレスにさらされ、構造的に正常に機能していない場合、犬も自分ではどうにもできないことがある。

ほとんどの場合、少なくとも始めはそれほど深刻なものではなく正しい対処(トレーニング、環境設定)をすれば改善するが、これを長期間放置すると、あるいは悪化させると…脳が壊れて取り返しのつかないことにもなり得る。