犬を知るには嗅覚を知れ:AKCのトラッキング競技①〜嗅覚を使って足跡を追う(動画)
2014.04.17
アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)にはトラッキング(足跡追求)というドッグスポーツがあります。日本で足跡追求をするのは警察犬の技を競う「シュッツフント」と警察犬の作業がもととなった足跡追究しかないので、一般にはほとんどなじみがありません。アメリカでもアジリティなどと比べると決してメジャーとは言えませんが、犬の本来の能力を発揮させてあげることのできるレクリエーションとして、愛犬とともに楽しむ飼い主さんには根強い人気があります。
人間は視覚に頼って生きていますが、犬は主に嗅覚で生きている生き物です。犬の嗅覚を使ったドッグスポーツをすると、犬のことをより理解できるようになります。
追跡する距離は合計400~500Mで、曲がり角が3~5回。足跡をつけてから30分〜1時間前にスタートし、足跡をつけた人がわざと落とした”落とし物”=グローブを探します。
初めて望んだTDテストの当日は風が強く、また途中で馬にのった人が横切った(後で聞いた話)など、コンディションは決して良くなくて、実際には20分もかかりました。犬の嗅覚を使った競技では、一度スタートしたら頼れるのは愛犬の鼻と根性だけ。それまでのトレーニングと愛犬を信じてついていく…それが一番の魅力といえます。
まずは一定のレベルに達しているかを見るための認定試験(Certification)があり、競技に出るにはまずこれに合格しなければなりません。競技会でテストに合格するとTD(トラッキング・ドッグ)の称号が与えられます。
次のレベルは、トラッキングドッグエクセレンス(TDX)、他にもアスファルトや土などの地面をたどるバリアブルサーフェストラッキング(VST)というのもあります。
トラッキングのトレーニングをすると学ぶことのひとつは、「犬を無理強いすると良いことはない」ということ。知っていましたか?犬も「嘘をつく」って。
「矯正(無理強いしたり失敗すると叱られる)」されてトレーニングされた警察犬は、地面から鼻を上げると叱られ、ちょっとでも足跡から外れると叱られます。それを避けるために、まるで足跡を追っているようなふりをするんです。
においは、私たち人間にはわかりませんし、見えません。本番だったら、本当に犯人を追っていると思っていたら、全く役に立たないってことになってしまいますね。