警察犬業界から高い評価を受けるKナインノーズワーク
2016.02.03
2016年1月、米国カリフォルニア州でNACSW®(K9 Nose Work®をまとめる団体)とCNCA(California Narcotics Canine Association 違法薬物探知犬協会)の初めての合同シンポジウムが開かれた。「ペット探知犬」が活躍するKナインノーズワーク®(以下、ノーズワーク)の競技会が、警察の「警察犬部署 」(K9ポリス)や軍用犬を育てるプロに認められたイベントと言える。
NACSW®認定公式競技会の審判は、ほとんどが現役のK9ポリスか軍用犬トレーナーだ。米国の警察は、地方自治体の最小単位である群を中心に構成されており、警察犬も群単位で育てられている。Kナインノーズワーク®の競技会が増えるにつれ、審判として参加し、「ノーズワーク犬」の実力を知るプロも増えたのだ。
競技会を見た審判らはみな、 アロマオイルのにおいを探す家庭犬と、爆発物を探すプロの探知犬が基本的に同じことをしていると理解した。
「探すものが麻薬だろうと、爆発物だろうと、バーチ(アロマオイル)だろうと課題は同じ。『犬の邪魔をしないで犬に任せろ』。ミスをするのは犬ではなく、いつもハンドラー(人間)側です。みなさんもご存知の通りです」とイベントの講演者の一人は笑った。
NACSW®が、サーチエリアの設定やトレーニング方法にこだわるのは、家庭犬でもプロと同じレベルを目指しているからだ。プロだろうと家庭犬だろうと、嗅覚が優れていることに差はないのだ。
Kナインノーズワーク®を考え出した3人の中のひとり、ロン・ガーント(Ron Gaunt)は言う。「においをずさんに扱ったり、能力以下のレベルで満足してしまうのは犬に対して失礼だ。犬は、とにかく素晴らしい鼻を持っているのだから」
「同じレベル」と言っても、 スタイルは違う。アロマオイルを探す、という競技だからこそできるサーチもある。
初めから資質で選ばれるプロの探知犬候補と、飼い主を癒してくれるための家庭犬とではスタートが違う。見知らぬ場所や見知らぬ犬が苦手で、過剰に吠えてしまったり動けなくなる犬が、力を発揮するようになるまでには忍耐が必要だ。
考案者のもう一人、エイミー・ヘロー(Amy Herot)が見せてくれたビデオには、初めてノーズワークを始めた時、段ボール箱が怖くて近づけなかったヨークシャーが1年4カ月後に、生き生きと自信に満ちた表情でサーチをする姿が映っていた。
「Kナインノーズワーク®は、においを教えるだけではないことがよくわかると思います。自分の犬に必要な時間を与えてあげて下さい。そうしてあげることができるのですから」とエイミーは言った。
(CNCAは25年前にスティーブと数人のK9ポリスで作った協会。カリフォルニアという名前が付いているが、全米的な組織。アメリカにはこのようなプロの警察探知犬の団体がいくつも存在する)