甘噛み?それとももしかして神経症?!
2014.10.01
ほとんどの場合、子犬や成犬が人の手やモノを噛むのは、正常な行動です。
いろいろなものを口に入れたり、家具や壁を噛んでしまうのも、子犬の「噛みたい」という自然な欲求の現れです。成犬になっても、犬は噛むことが大好き。たまに牛皮などの噛むオヤツをあげると喜びます。
犬は、オモチャや牛皮を噛むと、気持ちが落ち着きます。それが単なるストレス発散、といったものなら良いのですが、まれに大きなストレスを抱えている犬の場合、噛む行為が「精神的な病気」を表している可能性もあります。
それは、前足をなめ続けてただれてしまう、お留守番中にだけ家具や壁を噛む、プラスチック製のハウスを噛みちぎって脱走する・・・といった行為のこと。
このような場合、「しつけが悪い」のではありません。「何か普通じゃない」と気づければいいのですが、中には複雑なケースもあり、専門家が見ないとはっきりした原因がわからないこともあります。その原因と程度によって、トレーニングで改善する場合と、薬の投与が必要な場合があります。
噛むことをやめられなかったエルモ
エルモは4歳のジャックラッセルテリア。家族によると、ちょっとしたストレスを感じたときや、とりわけ何も理由が見当たらないときにも、家中の壁を舐めたり噛んだりする癖がありました。その他、来客があったとき、家族がクリスマスのプレゼントを開けているときにも同様で、特にお気に入りのスポットが10カ所ほどありました。
一度始まるとやめさせることはできず、この一見風変わりなエルモの反応と一日に何度も壁を噛む状態を心配した飼い主は、獣医行動学専門の獣医に相談しました。
獣医が発見したのは、同じ「壁を噛む」という行動でも、原因は3つあったことでした。ひとつは、てんかんの発作。二つ目は多動症、三つ目は不安症。
これが明らかになったので、獣医からそれぞれの症状に合わせた処方箋をもらい、数週間で壁を噛む「問題行動」はおさまりました。(これって本気噛み?私、甘く見られてるの?につづく)
参考: Meet Elmo: The Dog Who Could Not Stop biting The Walls? A Dog who needed medical help, not training. Sept 28, 2014. Decoding Your Pet, American College of Veterinary Behaviorists.