犬の起源、祖先のオオカミ・・・だけど犬はオオカミではない!

2014.02.05

米国インディアナ州にあるウルフパークに行って来たときの写真です。
ここでは、オオカミの生態を研究しています。全くの自然の中で生活しているのではありませんが、普段は自分たちだけの群れで暮らしています。必要な健康管理ができるように子狼のときから人間には慣らされていて、囲いの中に入って触ったりすることは可能です。
スタッフから安全のための注意事項を聞き、対応方法を練習してから中に入ります。

オオカミと犬の進化における関係は、近年、遺伝子の研究技術が進み、新しいことがわかってきています。2014年1月に発表された論文によると、絶滅したオオカミから犬と現在のオオカミが分岐したのは、1万1千〜1万6千年前、もしくは遺伝子の突然変異のスピードによっては3万4千年前とも推定できます。

初期の犬は狩猟生活を送っていた人間の野営地近くにうろつくようになりました。そして、一部のオオカミは人に慣れていき、次第に家畜化されていきました。その間、オオカミと犬の間ではその後も長い間交配が続いたと思われるそうです。ただ、現在の犬の祖先である“オオカミ”は今私たちの知っているオオカミではありません。初期の犬が今存在しないのと同じく、今のオオカミの元となったオオカミも既に存在しないからです。

今のオオカミは、犬と共通の“絶滅したオオカミ”を祖先とする“親戚”です。

 

オオカミ

 

現在の犬の祖先は、今私たちの知っているオオカミではなく、犬とオオカミはそれぞれ共通の“絶滅したオオカミ”から分岐し、進化しました。

狼の研究では、最近まで信じられていた習性が間違っていたことがわかっています。その謝った考え方を犬のしつけに当てはめると、逆効果になることもあります。

ウルフパークの狼は、健康チェックなどの必要性から、最低限の人慣れトレーニングをしてあります。オスワリやフセも、 家庭犬よりよっぽど上手にできるかもしれません(笑)でも、そのトレーニング方法は、決して「すぐに座らなければお尻を押す」などといった強要するものではありません。そんなやり方は危険ですから!

そして狼は、犬よりずっとずっと「敏感」で「攻撃的」です。

「カーミングシグナル」とか「ストレスシグナル」と呼ばれる犬のコミュニケーションのしぐさは、長年の家畜化で退化してしまっています。それに比べると、狼たちのコミュニケーションは、ある意味「よく見えます」。ある意味、というのは、何を見ればわかっている人には、ということです。

怖いくらい激しい「コミュニケーション」がわざと儀式的に行われると同時に、本当に大事な部分は、私たちでは見逃してしまうような微細なしぐさが交わされ、秩序が保たれています。

 

参考文献 The Mystery of the Missing Wolf—The search will soon be on for the wolf who became dog—and wolf.
January 19, 2014 by Mark Derr in Dog’s Best Friend