テレビ番組の犬のしつけの怪
2015.03.30
先日、ある民放テレビ局で、ダメ犬があっという間にいい子になる、という海外の番組と、1時間でマテを教えるという企画が放映されていた。
エンターテインメントとして楽しませていただいたが、番組を見ている人は、これをそのまま信じてしまうのだろうか?
でも、実は私も何も知らない10年前は、「わ〜すごいな〜」と思っていたのだ。さらに、真似をして危ない目にあいそうになったこともある(その番組には、確かに「危険なので真似をしないように」と当時は毎回、注意書きが出ていたのだが、笑)
10年たった今、久しぶりに同じ番組を見ると、とにかく「つじつまが合わない」。「こういう状況だとこうなる」という方程式に当てはまらないのだ。
「あっという間にいい子になる」のはあり得ないと言っているのではない。 ただ、放映されている部分だけ見る限り、不自然なことが多かった。
犬のしつけ番組は、ドキュメンタリーではない。ドラマチックに見えるように勝手に編集されてしまうこともあるから、本当はどうだったのか、わからない…。好きでテレビに出ているにしろ、断れないような場合にしろ、出るからには割り切っているのだろう。
犬の行動のすべてが簡単な方程式に当てはまるわけではない。ご相談をいただいても、たまに「何かおかしいな」と思うことがある。それは、飼い主さんが忘れていたり、重要だと思っていないちょっとした情報が欠けていたり、私の情報収集不足のこともある。たいがいは、後から「そういえば・・・」という形で明らかになる。
動物の行動には、一定の法則がある。犬のトレーニングは、その法則を正しく読み解くのが鍵だ。
人間の行動は非常に複雑だが、犬はそれに比べたらそれほど複雑ではない。それでも、何かしっくりしない、と感じる時は、パズルを完成させるために欠けている「ミッシング・ピース」があるのだ。
カテゴリー: トレーニング手法