ベイリー、ファーフッディ格言集①トレーナーという生き物「まずは自分を変えろ!」

2015.07.07

チキンワークショップ2015 

ボブ・ベイリー格言集①トレーナーという生き物「まずは自分を変えろ!」

 

トレーナーというのは、やっかいな生き物だ。
誰もが、自分のやり方が一番だと思っている…こだわりも強く(笑)…他人に対して批判的になりがちだ。
ひと昔前アメリカでは「ドッグトレーナーが100人集まれば、電球ひとつをどう取り替えるかについて100通りの意見があり議論になる」(出所忘れてしまった)とまで比喩されたくらいだ。

何かを学び始めるときは、何もかもが新鮮だが、経験を積み重ねていくうちに「頭が固くなっていく」。
それは、まさに学習の法則そのまま!
これまで行ってきた方法で「うまくいってきた」のであれば、その成功したやり方を繰り返すものだから(正の強化)。

それでも、いかに自分のトレーニング技術を向上させるかを追求しているトレーナーも多い。ちまたでまことしやかに叫ばれる「これだけが正しい」とも言わんべき主張に疑問を持つ人が、「ベイリー&ファーフッディのオペラント条件づけワークショップ」にやってくる。

オペラント条件づけの動物トレーニング(人間を含む😉)への応用・実践ワークショップ(通称チキンワークショップ)でボブ・ベイリーはまずこう言う。

「このワークショップは、ニワトリをトレーニングすることが目的ではありません。『みなさん』の行動を変えることを学ぶワークショップです」

“This workshop is about changing YOUR behavior. This workshop is not about training chickens!” (Bob Bailey)
今年も、全米・世界各国から世界トップレベルのトレーナーや職業訓練士、そして子供や語学教育に携わる人々が集まってきていた。新たに出会ったのは、神経科学専門の大学教授、コンピューターサイエンス専門の大学教授、獣医行動学専門の獣医のほか、地域で子供たちに犬のしつけを教えているボランティア、バードトレーナーなど。今年再会した友達が去年パートナーを組んだ相手は、いかつい警察犬の訓練士だったそうだ。

他にもチキンワークショップはあるのに、他にも行動分析やオペラント条件づけを教えているスクールやセミナーはあるのに、なぜボブとパービーンのワークショップにたどり着くのか…

「なぜこのワークショップに参加したのかって?それは、みんながあなた(ボブ)のことを話題にしているからですよ」(参加者の一人の自己紹介)

“Why am I here? …because everybody talk about you! What else?”

 

これまで成功を収めてきた犬のトレーニング方法を、話を聞いただけで変えるのは相当勇気がいることだろう。でも、このワークショップでは、まずニワトリでそれを試してみることができる。ニワトリで、あれこれ「失敗」し、同じことを犬にしていることに気がつく。

世の中には、中途半端でつじつまの合わないオペラント条件づけの解釈がまかり通っているのだが、その体験をしながらボブの説明を聞くと、だれもが納得せざるおえないのだ。

 

5日目の最後にボブは、よくこう聞く。

「さて、このクラスでどんなことを学びましたか?(What did you learn in this class?)」

「いかに自分がわかっていないかを学びました(I learned how much I don’t know.)」とある参加者は答えた。今回受けた2つのクラスのどちらでも、同じ言葉を聞いた。私は、去年も、一昨年も同じ言葉を聞いている。

ワークショップでは、理論を頭ではなく体で体験する。そして自分が普段行っているトレーニングが、いかに理論と反したことをやっているのかを突きつけられるのだ。レクチャーだけでは絶対にわからない。

毎回思うことがある。クラスの初めには、新しいことを学べるというワクワクした気持ちと同時に、自分はうまくやれるぞ!といった思いが滲みでている人が多いのだが、3日目の後半から4日目にかけてみな、それが「幻想」だったことに気づかされ、悩む。そしてそれを乗り越えると、みな、よごれていたメガネのくもりが綺麗に洗い流されたような晴れ晴れとした顔になる。(②壁に頭を3かいぶつけなさいを読む)

 

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