あなたと愛犬の関係を決めるしつけ方法 自主性か無理強いか

2014.05.14

今もっとも進んでいるのは「褒めるしつけ」。科学的にもその有効性は次々と実証されています。

もともと、家庭犬のしつけの基本になっていたのは、警察犬や軍用犬といった特殊な使役犬の訓練です。犬も軍隊と同じように精神も肉体も“無理強い”をする「厳しい訓練」が必要で、“上官”に絶対服従が規律の維持に絶対だと信じられてきたからです。

軍用犬や警察犬では現在もまだ“規律”を重視するトレーニングが主流ですが、そのパフォーマンスとトレーニング方法の関係も見直しが少しずつ進み、より褒めるトレーニングが取り入れられるようになってきました。そして、「ダメなものはダメ」的な厳しいトレーニングを受けた犬よりも、正しくできたときに褒められた犬の方が、どんな状況でも、より集中力があり、正確で優れたパフォーマンスをするという研究結果が出されています。主に叱られている犬は、仕事を指示されたとき、おどおど、びくびくする、といったストレスを感じます。

自主性を尊重し、できたら良いことが起きるという「ポジティブ・トレーニング」とは、犬を撫でる、ポンポンと体を軽く叩いて合図する、いい子だと声をかける、オモチャやオヤツを与えること。何かをしたら良いことが起きると、犬は自信を持って喜んで飼い主さんの指示を仰ぎ、従います。間違ったり失敗しても叱られないのでのびのびと行動します。飼い主さんの言うことに従うと、良いことが起きるので、常に飼い主さんに注意を払います。

叱る(強制的な)トレーニングで使うのは、失敗したときに、きつい声で叱るといった軽いものから、怒鳴る、リードを激しく引っ張って首をしめて合図する、首輪を持ってつり上げる、手やリードで犬を叩く、電気ショックを与えるなど。褒められるより叱られる方が多い犬は、いつ叱られるか、あるいは褒められるのかわからないので、不安を抱えつつ指示された行動を起こします。犬からするとなぜ叱られているのかわからないこともあります。飼い主さんから指示が出ることは、「嫌なことが起きるかもしれない」ことを意味するからで、そっぽを向いたり、集中力に欠けていました。

「オヤツがなくても自分の言うことを聞くべき」と思う人は少なくありません。「叱った方が犬が従う」「ある程度叱っていうことを聞かせるのは仕方ない」と思っている人も多くいます。

ポイントは、あなたが世界一大好きで信頼できる人になることです。「ポジティブ・トレーニング」は、愛犬にストレスを与えず正しい行動を教えるので、愛犬があなたを避けるのではなく、良いことが起きるのを期待して常にあなたに注意を払うようになります。

 

参考文献

“Training methods of military dog handlers and their effects on the team’s performances” A. Haverbeke, B. Laporte, E. Depiereux, J.-M. Giffroy, C. Diederich.  Applied Animal Behaviour Science 01/2008; 113(1):110-122

 

関連記事

「褒めてしつける」ってどういうこと?(動画付き)

犬のしつけは褒めること①

ポジティブ・トレーニングっていったい何?(上)ポジティブの意味

犬はどう学ぶのか①行動と結果