チキンワークショップ⑩軍用犬、警察犬のパフォーマンス
2014.09.24
野生のイルカやトカゲやクモまでもトレーニングしてしまうボブは、アメリカの軍用犬のトレーニングも行っていました。軍用犬や警察犬のトレーニングは今でも、「精度の高いパフォーマンスを求めるには、失敗したら「罰」(矯正)は不可欠だ」という考えの人が少なくありません。
スパイクカラーやチェーンクカラー、電気ショックカラーなどを使った「服従と矯正」や身体的苦痛をともなう罰を与える“厳しい”トレーニングが根強く残っています。
これに対してボブは、たとえ地雷などを探知する軍用犬のトレーニングであっても、罰を与えずに最も信頼できるレベルにトレーニングができるとボブは言います。
「私の行ってきたトレーニングの中で、罰を与える必要があったのは数えるしかない。それだって、私は必要ないと主張したのだけれどクライアント(米軍)がどうしてもそこまでやってくれ、と言ったからやっただけ」だそうです。
ボブの最も新しい実績では、スウェーデンの特殊部隊の軍用犬プログラム。世界でも最もレベルの高いパフォーマンスだそうです。「罰を与える=矯正」(correction)は使っていません。
もともと軍用犬や介助犬などの育成プログラムを作ってきたボブがアメリカで仕事をしなくなった理由のひとつに、いつまでたってもなかなか「変わらない」ので嫌になったのだそうです。ボブは、「罰を与えることがいけないというよりも、必要がない」「“矯正”しない方がより確実で信頼できるパフォーマンスが得られる」と考え方で、またそれで十分すぎる実績を残しています。
スウェーデンのプログラムでは、熟考された候補犬の選別テストがあります。それにくわえ、「罰を与える必要があると思った場合、そのトレーナーはその理由についてこと細かく説明を提出し、会議に計ること」というルールを作ったそうです。それだけ真剣に考えると、それ以外の方法で解決でき、罰を与える必要がなくてすんでいるそうです。(⑪アメリカの競技犬の世界に変化、を読む)