犬が噛む時④身の危険を感じた時

2014.12.04

あなたが犬の頭を撫でようと手を出したときに噛まれたとしたら、犬が攻撃的なのでも、しつけが悪いのでもありません。

あなたが飼い犬に手を噛まれたといって、すぐに「犬がリーダーになっているからだ」と考えるべきではありません。

 

本当に支配的だったり攻撃的な性質の犬はまれと言っていいでしょう。ほとんどの犬は“群れのリーダーの地位”など狙っていません。犬の頭を撫でようと手を出し噛まれたら、あなたのことが「怖かったから」と考える方が普通です。本当に支配的な犬は、噛むよりも他のしぐさで自分の優位性を主張しようとするものです。

それでも犬が噛むと、「飼い主が下に見られているからだ」「なめられてはいけない」「犬を従わせなければならない」などと言う人もまだ多く残っています。犬をきつい口調で叱り、ひっくり返して地面に押しつけて“降参”させたり、抵抗をやめるまで力で押さえつけたりします。

あなたが犬だったら、理不尽に思うと思いませんか?

だってあなたは、怖いのに逃げられなくて、最後の手段に出るしかなかったのですから。

犬は散歩中、リードにつながれていて、すれ違う人や犬と自由に距離をとることができません。そして犬がたとえ「近寄らないで」とサインを出していても、それに気付かない人や犬は近づいてくるのです。

犬を含め、動物は、追い詰められたら、自分の身を守ろうと攻撃してきます。

もしその犬が以前にも人を噛んでしまったことがあれば、飼い主さんは緊張してリードをいっそう強く短く握っているでしょう。犬の自由はますます奪われます。他人にも飼い主さんにも自分の気持ちは尊重されない・・・だから、自分のことは自分で守らなきゃ、と頑張らなければならなくなるのです。

見知らぬ犬が苦手な場合も同じです。

たまに見るのですが、散歩中に出会った犬と自分の犬を「挨拶」させようと、飼い主さんが「ほら、お友達よ」などと言いながらリードを引っ張って自分の犬を相手の犬に近づけている光景です。近づきたくなかったのに、無遠慮ににおいをかがれ、リードがついているので逃げることもできません。相手が犬のマナーの悪い場合はいい餌食。あるいは、犬慣れしている相手が遊びに誘おうと急に動いたりすると、慣れない犬はびっくりして怖い思いをしてしまうこともあります。

このような嫌な体験が積み重なると、犬嫌いになってしまう犬もいます。たいがい子犬のうちは我慢しているもので、飼い主さんは気が付きません。それが思春期から大人にさしかかったころから、犬は「いい加減にして!私(僕)は嫌なんだから、向こうに行け!」と、威嚇したり吠えて主張するようになるのです。

怖がっている犬を、空間的にも精神的にも追いつめて、いいことはありません。

前の記事へ 次の記事へ

 

この記事のカテゴリー: 犬の習性と行動 噛む 散歩 犬の性質としつけ しつけのコツ「犬はどう学ぶのか」

 

怖がりの犬におすすめのトレーニングはこちら

 

 

メールで申し込む携帯に電話する