去勢・避妊は急ぎすぎるな!自然な成長と問題行動の関係

2014.02.17

去勢・避妊手術をすると、将来ガンになる可能性を防げる、従順になって飼いやすくなるほか、問題行動を防げるなどとされていますが、手術の副作用についての研究がすすんできました。

犬の殺処分が多いアメリカでは特に、望まれない犬の数を抑えるためもあって去勢・避妊手術が奨励され、手術を行なう年齢に関してはあまり注意が払われていません。中には、8週齢といったまだほんの子犬のうちに手術をしてしまった方が負担が少ないという考え方まであり、6カ月前後の犬が身体的に成熟する前に手術を行なうのも珍しくありません。日本では、オスの場合、足をあげて排尿するようになる前に去勢すればマーキングをしない、メスの場合は初潮を迎える前に手術するのがよい、などといわれることもあります。

しかし、犬の体が成熟する前に手術をしてしまうと将来、問題行動の原因になったり、ある種のガンや病気を発症する可能性が高まるという結果がでています。

ビシュラ2,505匹を対象に行なわれたVizsla Club of America Welfare Foundationが出資して行なわれた研究で、6カ月齢以前に去勢・避妊手術が行なわれた犬では、リンパ種、血管肉腫といったガンの発症が高くなりました。問題行動では、臆病、過剰な興奮、過剰な従順性による排尿、攻撃性、恐怖が原因の噛み、分離不安といった問題行動がより多く見られました。そして、特に雷の恐怖症については、手術の時期に関係なく、避妊・去勢された犬はされていない犬に比べて怖がることが多かったそうです。

ゴールデン・レトリーバーの研究でも、12カ月になる前に手術をした犬では、リンパ種、血管肉腫、肥満細胞腫瘍といったガン発症の可能性のほか、股関節形成不全、十字靱帯損傷(CCL)になりやすいという結果がでました。

これらは犬種ごとの結果で、研究者たちも今後さらに研究が必要だとしています。成長・成熟のスピードは犬種や個体によっても異なりますし、犬の去勢・避妊手術を行なう時期は、犬の生涯にわたる心身の健康を総合的に考えて決める必要がありそうです。

 

参照

Evaluation of the risk and age of onset of cancer and behavioral disorders in gonadectomized Vizslas M. Christine Zink, DVM, PhD; Parvene Farhoody, MA; Samra E. Elser, BS; Lynda D. Ruffini; Tom A. Gibbons, MS; Randall H. Rieger, PhD

Dr. Benjamin L. Hart at the University of California, Davis, was financed by the AKC Canine Health Foundation. Entitled, “Health Implications in Early Spay and Neuter in Dogs

 

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