犬が噛む時②狩猟本能のスイッチオン

2014.12.02

前回、犬の噛む力をコントロールする能力はすごい、というお話をしましたが、「不慮の事故」が起こってしまうこともあります。

何十年も昔、知り合いがアメリカに住んでいたときの出来事ですが、飼っていたヨークシャーテリアは、“遊ぼうとした”ジャーマンシェパードにかみ殺されてしまったそうです。どちらの犬も他の犬に対して友好的で、これといって問題があったわけではありません。

シェパードも、ヨーキーを襲ってきたのでもありません。でも、一瞬軽く「パクッ!」とくわえられただけで、その場所が悪かったらしく即死だったそうです。傷はありませんでした。

何が起こったのでしょう?

シェパードのような大型犬から見るとヨークシャーのような超小型犬は一瞬「獲物」に見えてしまったのです。それは、シェパードが悪いというのではなく、犬が本来持っている狩猟本能のスイッチが、突然入ってしまったということです。しつけや性格とも関係ありません。

アメリカで、グレイハウンドの保護活動をしている団体のイベントで、ドッグダンスのデモをしに行ったことがあります。私が連れていたのは2匹のトイプードル。トイプードルというのは、動きがちょこまかしています。

この時も、グレイハウンドを連れている飼い主さんに、同じようなことを言われました。「小さい犬は、獲物に見えてしまうと本能的に追いかけてしまう可能性があるから、近づきすぎないように気をつけてね」と。

どんなに性格が良く、しつけの行き届いた犬でも、どんなに「家族の一員」であっても・・・犬は犬です。捕食動物としての本能を持っていることを忘れないこと。自分の犬種の特性をちゃんと理解し、責任を持って飼う、というのはそういうことではないでしょうか。

ドッグランに行かれる方は、気をつけてください。大型犬と小型犬が一緒の場合、遊んでいるうちに小型犬が「獲物」にされてしまうことがあります。犬のサイズの他にも、噛む力の強い犬は、犬はそのつもりがなくても思わぬ力がかかってしまってケガしてしまうことがあります。それでなくても犬の歯の裂く力はすごいので、当たりどころが悪ければケガをします。

犬が過度の興奮状態にならないように、頻繁に「休憩時間」を入れ、頭を冷やしてもらうのがポイントです。

 

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この記事のカテゴリー: 犬の習性と行動 噛む

 

 

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