ポジティブ・トレーニングっていったい何?(中)世の中は「褒美」と「罰」にあふれてる

2014.11.02

私たちは常に「良いこと」と「嫌なこと」を経験しながら生きています。

これが心理学(学習理論)の中でいう「褒美」(良いこと)と「罰」(嫌なこと)のことです。

「罰」も自然の法則の一部。正しいこととか、いけないこと、という次元や個人の心情や信念の問題ではありません。

嫌なことだからできれば避けたい、と思うことはいろいろです。

暑いお茶を飲んで舌を火傷した…これは「罰が与えらえた」ことになるので、次に暑いお茶を飲むときには気をつけるようになりますね。ある意味、自業自得で学ぶわけです。
「与えらえた=プラス(+)なので専門的には本来は“ポジティブ”です!

子供が火遊びをしていたら、お父さんに見つかってお仕置きとしてお尻を叩かれた…今時こういうことはあまりないかもしれませんが、こういうお父さんは、子供から「お父さんのことは大好きだけど、でも怖い」という存在になり、いつ嫌なことをされるかわからないから気をつけていなければ、と警戒されるでしょう。(これも実は“ポジティブ”ですよね・・・)

あなたの家庭で、子供と話し合った結果、テレビゲームで遊ぶ時間を毎日30分まで、1回注意して5分以内にやめなかった場合、その後1週間はテレビゲームをしない、と決めたとします。これは親子の間のお約束。約束を守っている限りは許されるある種の「特権」です。ルールを破った場合の「罰」を徹底すれば、子供はテレビゲームをしたければ自主的にルールを守るようになります。

“ポジティブ・トレーニング”は、このような「罰」を使います。
「特権=良いこと」が、一時的に「取り上げられる=マイナス(–)」ペナルティ式の罰です。

このような見方は、慣れないと難しい概念ですね。これを理解していようがいまいが関係なく、私たち動物はみな、このような状況から「好きなこと」「嫌いなこと」「どうでもいいこと」を常に学んでいるわけです。

ただ「ポジティブ・トレーニング」とか「褒美を主体にしたトレーニング」という場合、犬を力まかせで言うことをきかせたり、犬を威圧する、リードで首にショックをかけ(不快な思いをさせる)従わせる、といった不必要なストレスをかけるやり方はしません。

本当にそれが必要な特別な場合以外、犬に身体的・精神的苦痛という「罰を与える」必要がないからです。(お父さんの例)

“ポジティブ・トレーニング”を行うトレーナーは、動物の自主性、個性、選択の自由を尊重します(テレビゲームの例)

犬に人間の論理や基準を押し付けなくても、飼い主さんの望むようにしつける方法はあるのです。(つづく ポジティブ・トレーニグていったい何?(下)自主性の尊重と無理強い

 

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