ポジティブ・トレーニングていったい何?(下)自主性の尊重と無理強い
2014.11.04
犬にオスワリを教える場合、オスワリをしたらオヤツをあげていると、オスワリをすることが多くなっていく、というお話をしました。(ポジティブ・トレーニングっていったい何?(上)参照)
褒美を与えて(プラス+)こうしてね、というのを教えるのを「陽性強化」といいます。(できたら犬が喜ぶものを与える)
では、それ以外にオスワリを教える方法はないのでしょうか?
【例1】幼稚園児がファミレスで、テーブルについたあと、なかなか椅子に座らずに立っているとします。イライラしたお母さんはついに「早く座りなさい!」と言って子供の腕をつかんで引っ張り、力づくで椅子に座らせました。
【例2】不良少年少女が良くやる行動のひとつが、「ゆすり」です。自分より弱い立場にある相手をゆすってお金などを出させます。もしそのような状況になって素直に従わないと、下手したらナイフを突きつけられたり殴られたりします。うっかり無駄な抵抗をしてそんな思いをした経験があったら、囲まれたとたんにすぐお金を出した方が得策だ、と学ぶでしょう。
⚫︎犬が「スワレ」の指示に従わないと、リードを引っ張って首に圧力をかけます。すると犬は不快な思いをするので、それを避けるようにしてすわります。すわると同時に不快感は取り去られます。何度もこのようなことが繰り返されると犬は、「スワレ」と言われたら嫌な思いをするよりもさっさと座った方がいい、と学びます。
⚫︎犬が飼い主さんに注意を向けていないとします。飼い主さんは、犬がそっぽを向かないように、注意をそらしそうな時にリードをピッと引いて首に不快感を与えます。犬は嫌なことをされないように飼い主に集中していることを学びます。
これを「合図するだけ」「注意をうながすだけ」「痛い思いまではさせていない」と思うのであれば、それはひとつの考え方です。私が絶対に使わない、と言っているのでもありません。中にはこの手の“罰”は絶対に使わない、という信条を持ったトレーナーもいます。それはさておき、
専門的には何かを「強要している」部類に入り、オスワリすることが増えていきます。(おどす→言うことを聞く→嫌なことが起こらずにすむ)(陰性強化と呼ばれます)
これに反して、
◎犬が飼い主さんを振り返り目を合わせるたびにオヤツがもらえる、としたら、どうでしょう?犬はそのうち頼まなくても飼い主さんに注意を払うようになるでしょう。犬は喜んで自主的に飼い主さんの指示に従うようになるのです。
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