ポジティブ・トレーニングっていったい何?(上)ポジティブの意味
2014.11.01
エジプトの壁画に、訓練された猟犬と共に狩りをする古代エジプト人の絵が残っています。
犬のトレーニングは決して新しいものではありませんが、犬のしつけには、いろいろな手法、考え方があり、時代とともに変化してきました。
そして、犬が飼い主の指示に従わない場合は、たとえ無理強いしてでも従わせる、といった「主従関係」をもとにした考え方でも、犬の自主性を尊重する「褒めてしつける」方法でも、すべては「行動の法則」の上に成り立っています。
では、何が「新しい」のでしょうか?
最新の動物のトレーニング方法は、科学的な根拠に基づいているということです。「叱るよりも褒める」「無理強いするよりも自発的に学ばせる」方が効果的だ、ということが実証されています。MRI(磁気共鳴映像装置)などの科学技術の進歩と脳神経科学の発達は、目覚ましいものがあります。
「犬がリーダーになっているから飼い主の言うことに従わない」とか、「犬と一緒に寝ると犬が支配的になる」「絶対に叱ってはいけない」などといった“感情論”や“信念”とは別問題です。
「正の強化」(Positive Reinforcement)という言葉を聞いたことはありますか?
心理学の一分野の専門用語なのですが、実は英語を母国語にするネイティブでも、ちゃんと説明を聞かないと正しく理解できません。
正の強化の正は、ポジティブ(Positive)。その反対は負の強化で、陰性はネガティブ(Negative)になります。
ポジティブだから「良いこと」、ネガティブだから「悪いこと」、という意味ではありません。「陽性」と「陰性」と呼ぶ人もいますが、「正しいvs間違い」とか「前向きvs後ろ向き」いう意味でもありません。
訳した人は、電極のプラス(+)とマイナス(−)、つまり「陽」と「陰」にかけたのではないかと推測します。
要するにプラスとマイナスを素直にそのまま、「足す」と「引く」と考えてください。
犬のしつけで考えると、足すというより「与える」「あげる」、引くというより「取り上げる」「取り去る」ということです。
オスワリをしたらオヤツをあげる。そうすると犬は何かとオスワリをするようになります。
“ポジティブ・トレーニング”といった場合、「褒美を与える」ことで良い行いを増やしていく、ことを主体にします。
では、罰は使わないのか?
いいえ、そんなことはありません。褒美も罰も両方使います。
(つづきはポジティブ・トレーニングっていったい何?(中)人生は「褒美」と「罰」にあふれてる)
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