犬の無駄吠えはどこまで理解できるか?〜動物の言葉を解明する技術
2013.11.04
1980年の映画で「キャディーシャック(邦題:ボールズボールズ)」という映画がありましたが、見たことありますか?主演のチェビー・チェイスがゴルフをプレイするとき、プレーリードッグにいたずらをされるコメディーです。
プレーリードッグは地下にトンネルを掘って巣を作り、複数の家族が集団で生活するリスに似た小動物です。アメリカの草原にたくさん生息しているのですが、このプレーリードッグを長年観察し、「複雑な言語」を解明した研究者がいます。
実は、動物研究においては、人間の持つ「言語」=言葉に対して、動物のコミュニケーション手段を「言語」ではない、とするのが主流なのです。でも、そのような学術的な論争は別にして、プレーリードッグの言葉の複雑さには感心しました。
どんな敵がどの方面からどのくらいのスピードで近づいてくるぞ!という細かい内容まで伝えあっているというのです。
「青いシャツを着た背の高く痩せた男が歩いてくる」
「空から鷹がこちらを狙っているから穴に逃げろ!」
「シェパードがいるけど、動きは早くない」
敵の色、サイズ、形、動くスピードを組み合わせて表現でき、さらに見たことのない敵を表現することまでできるそうです。
最近の技術革新やデジタル化の結果、以前は測定できなかった動物の「声」をとらえ、細かく分析できるようになった結果です。 10年近く前、犬のさまざまな鳴き声を再現したおもちゃのような商品がヒットしたこともありましたね。
犬のコミュニケーションの道具のひとつは吠えること。でも、高度な機械の分析に頼れない私たちがそれを理解する第一歩は、私たちの耳と目と観察力です。
4年ほど前のことですが、マンションの4階に引っ越した直後のことです。新しい環境で落ち着かなかったうちの犬2匹は、しばらく外で犬が吠えるとそれに反応して吠えていました。
でもよく気をつけて様子を見ていると、吠えるときと吠えないときがあったのです。
吠えたときに窓の外をのぞくと、中庭で、見知らぬ犬が苦手な犬がすれ違い様に出会った犬に向かって吠えていました。その反対に、聞こえてくるのが明るく嬉しそうな吠え声であれば、気に触らないようでした。
明らかに悲痛な声の場合や明るい吠えの区別はつきやすいですが、その中間のニュアンスは微妙です。犬同士では私たち人間が聞き分けられない違いを犬同士は区別していますが、私たちがそれを聴き分けるには、ちょっと努力が必要です。
ちょっとした状況の違いで犬はさまざまな気持ちを表しますが、吠え方だけでなく犬のしぐさやその場の状況を総合的に判断しなければなりません。
これまでどんなに叱っても、何をしても無駄吠えが減らない場合、吠えの意味を正しく理解していないこと、飼い主さんの対応が適切でない、ことが考えれます。
参考文献: Chasing Doctor Dolittle: Learning the Language of Animals(「ドリトル先生を追い求めて:動物の言葉を解明する」(11/27/2012) )の中で、Con Slobodchikoff博士著は、さまざまな動物のコミュニケーション手段には文法や構成があり、「言語」と言ってもよいのでは、と主張しています。
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