失敗しないトイレのしつけ③ 人間社会の事情と犬の本能
2014.08.09
ある程度大人になった犬は、本来、自分の寝床(巣穴)近くや居住地では排せつしないものです。臭いし、“敵に見つかる”可能性があるし、できればより遠くでしたいと思うのは不思議ではありません。
昭和の時代は、犬は庭で飼うのが当たり前で、犬小屋の横に長いチェーンでつながれているのが普通でした。運動用のワイヤーもよく見かけました。2本の木の柱の間に渡されたワイヤーに犬をつなぐと、より広い範囲を自由に動いて運動できるのです。
母が子供の時にも、このようにして雑種を飼っていました。この犬は昼間はつながれていて、夜になると番犬として庭に放されたのですが、つながれている間は、ウンチもオシッコもしませんでした。放されるのを待って、“居住区”以外の場所まで行って排せつしたそうです。
ある生徒さんの話です。
子犬の時は、朝、飼い主さんが起きくる時にはケージの中ですでにトイレをすませていました。次第に夜中トイレを我慢できるようになると、飼い主さんが起きてくるのを待ってから、トイレをするようになったそうです。
推測ですが、この犬は「お母さんが起きてくるとウンチを片付けてくれ、汚れたシートを取り替えてくれる」と学んだのでしょう。
家の中で飼われるようになった犬、特に超小型犬は、このような野生の本能が麻痺(?!)しているようにうかがえることもありますが、ある意味、トレーニングによって指定の場所で排せつするようにするには都合がいいとも考えられます。
ただ、言葉の通じない犬にとって、「家の中 vs 外」は明らかに違いが明白ですが、「家の中のトイレ以外の場所 vs 家の中の指定のトイレ」 の違いはわかりにくいコンセプトだと言えるでしょう。
特にまだ足取りもおぼつかない子犬にとって、ケージ以外の家の中はすべてトイレ、と思ってしまっても仕方のないことなので、飼い主さんがいかに失敗させないかがポイントになるのです。