失敗しないトイレのしつけ⑤ 叱ってはいけない理由

2014.08.12

一昔前は、犬が家の中でそそうをしたら、排泄物に犬の鼻面をつけて叱る、丸めた新聞紙で叩く、というのが一般的でした。その代わり、トイレは家の外、という区別もはっきりしていて、犬にはわかりやすかったともいえるでしょう。

この方法でも、タイミングが良ければ確かに「覚えた」犬もいたと思います。その「覚えた」ことが何だったかは別ですが。トイレを「覚えた」ように見えたのは、成長するにつれてお散歩の時間まで我慢ができるようになり、外でするようになったと考えられるでしょう。

今は、トイレを失敗しても叱ってはいけない、というのが常識です。

特に、お留守番中にそそうしていた場合や、いつの間にか失敗してた後を見つけた場合。すでに時間が経ってしまっているのを叱っても、害にしかなりません。

ある実験があります。ある飼い主は、帰宅したときにオシッコの水たまりを発見すると犬を叱っていました。飼い主いわく「この犬は、いけないことをしたとわかっているんだ!申し訳なさそうな顔をして小さくなるから」。

そこで、オシッコの代わりにただの水で水たまりを作っておき、飼い主が帰宅した時の犬の様子を見ました。すると、犬は自分がそそうしたのではないのに、申し訳なさそうに首をすくめたのです。犬は、飼い主さんの帰宅時に「みずたまり」があると飼い主さんの機嫌が悪くなる、と思っていたのでした。

そもそも犬からすれば、なぜ自然な行為を叱られなければならないのかわかりません。叱られると、「飼い主さんの目の前でトイレをすると嫌なことが起きる」と覚え、しなければならない時には見えない場所に行き、飼い主さんから隠れてするようになることがあります。

母犬は、子犬がどうにか少し歩けるようになると、鼻面などで子犬を押して“巣穴”から出し、寝床は汚さない、という習慣を教えていきます。少しずつ歩けるようになってきても、足腰がしっかりしない子犬は、我慢するための筋肉もまだしっかりしていません。人間の幼児と同じで、行きたい!と気がついたときには限界だったりするものです。初めは巣穴の1歩そとに出るのがやっとですが、だんだん成長するにつれ、トイレを我慢することができる時間も長くなり、より巣穴より遠くまで行って用を足すこともできるようになってきます。

子犬がトイレ以外の場所で排泄しそうな時、声を上げてビックリさせてストップさせる、という方法もあるのですが、これはなかなかタイミングが難しいのです。特に初めて子犬を飼うどれだけの人が、突然もよおす子犬のトイレのタイミングをはかり正確に声をかけることなどできるでしょうか?しそうなしぐさがわかるようになった時には、すでに子犬は何度も失敗を繰り返してしまっていることでしょう。

それよりも、ちゃんと指定のトイレで排泄できた時に、「良いこと」が起きれば、子犬はトイレを覚えていきます。

 

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