デザイナー犬はフランケンシュタイン?
2014.04.03
しばらく前に流行した「デザイナー犬」は主にプードルと他の犬種を掛け合わせたものでしたが、最近ではプードル以外の犬同士を掛け合わせたデザイナードッグも多く見るようになりました。このような犬は、雑種ではなく「デザイナー犬」として高い値段で売られています。
もともとは、犬の毛アレルギーの人でも飼える介助犬としてオーストラリアで“開発された雑種”が「ラブラドュードル」。それからかけ離れ、大きな利益を生むデザイナー犬の中には、なぜその二つの犬種を掛け合わせるの?と疑問に思う犬がいます。
ラブラドゥードルの生みの親であるウォーリー・コンロン氏は、結果的に不健康で不安定な性格の「デザイナー犬」を生むことになってしまって後悔し、自分は「フランケンシュタイン」を作ってしまったと嘆いているそうです。
その理由のひとつは、そもそもの目的だった抗アレルギー犬は、数が限られていること。たとえラブラドュードルだからといって全部がそうではなく、1匹ずつテストしないとわからないそうです。コンロン氏の繁殖したラブラドュードルのケースでは、盲導犬を希望する人の家族がアレルギー反応を起こさなかったのは、3匹の子犬のうち1匹、10匹生まれた子犬の中ではたった3匹だったそうです。
もう一つの理由は、純血種のように性格が安定しないこと。「コッカープー」「シュニュードル」「チワプー」などとまるで“犬種”のような名前がついていても、ハイブリッドは何世代にわたって繁殖することができません。
当初の目的であった「介助犬」になれるかなれないかは、性格です。盲導犬は独自の繁殖プログラムで安定した性格の犬を繁殖しているにもかかわらず、実際に盲導犬になれる犬は非常に数が限られています。プードルミックスの多くは「狂っている(コンロン氏)」ことも多く、トレーニングが入らない、とまで言っています。性格だけでなく、てんかん持ちが多く、身体的にもさまざまな問題が多いと指摘しています。
ペットとしてデザイナー犬を飼う場合、主に「かわいい」という理由で選ぶのでしょうが、長い犬の一生つきあっていく性格や学習能力は大事です。親から遺伝した部分には、変えられない部分もありますから。
日本の犬の販売は少しずつ規制が厳しくなってはいますが、ペットショップで売られている多くの子犬は「商売」で繁殖されています。良心的なブリーダーは少ないのが現状。デザイナー犬に限らず、多くの犬、特に小型犬は何らかの身体的な問題を持っていることも多いです。犬はどんな子犬でも両親の健康状態や性格を確認するのが大事です。
注意:この文章の目的は、情報の紹介であり、特定の犬種を非難するものではありません。
参考文献 A Designer Dog Maker Regrets His Creation. The inventor of the Labradoodle believes he created a Frankenstein. by Stanley Coren, PhD